ChatGPTのゴールシークプロンプト 解説とテンプレート
本記事ではShunsuke氏のゴールシークプロンプトを平易な日本語で実行する方法を紹介します。これを通してゴールシークプロンプトの仕組みを分かりやすく解説します。
記事中では具体的な実行内、テンプレートを紹介します。
Shunsuke氏のゴールシークプロンプトとは
そもそもShunsuke氏のゴールシークプロンプトとはいったい?という方は、同氏のツイート、動画をご覧ください。
・・といっても、いきなりは取っつきづらい。
という方はうみゆき氏の記事が分かりやすく入門にオススメです。
なぜわざわざプロンプトをアレンジしたの?
先に挙げた動画もそうですが、Shunsuke氏はこのアイデアや実際のプロンプトをTwitter等で広く公開しています。
同氏のプロンプトは洗練されており、安定的に高い成果を出すことが出来ます。
そして洗練されているがゆえに、LLMの仕様を踏まえた高度な記法(プログラムライクな指示文など)が用いられている部分も多いと感じました。プログラミングが以前より一般的になった現代とはいえ、やはり多くのビジネスパーソンはそういったスキルを持っていません(私含め)。
こんな我々もロジックを理解したうえで使えるよう、平易な口語ベースのプロンプトにアレンジしようと思いました。
プロンプトの内容
私が作成したプロンプトを紹介します。
これをそのままコピペ頂ければゴールシークプロンプトとして機能します。
ChatGPTへの挨拶
まず次のようなイントロダクションを仕事のパートナー(ChatGPT)に送ります。
これから一緒に仕事をするうえで、何をやろうとしているのかの概要を共有することは大切ですよね。
こんにちは、ChatGPT。
私はあなたにあるタスクを遂行してもらいたいと考えています。
しかしながら、私にはあなたへの指示にあたりゴールとタスクの手順を完全に言語化することができません。 そこで次のようにしてあなたに完全なゴールと手順を教えてもらいます。
私からあなたに曖昧なゴールを与えます。
あなたはそのゴールをもとに、段階的な実行手順と確定的なゴールを推論し出力します。 このとき、確定的なゴールと手順を定めるうえで必要な情報は変数を用いて補完してもらいます。
以上が私のやりたいことです。
ここまで理解出来たらOKと回答してください。
ゴールシークを具体的に指示
さあ、優秀なパートナーからOKが出たらいよいよ具体的なゴールシークを指示します。
以下では≪曖昧なゴール≫に「ダイエットに関するブログ記事を2000字程度で書いてください。」と入れていますが、実用時はこれを目的に応じて書き換えて利用します。
先ほど説明した私のやりたいことをあなたに実現してもらうために、曖昧なゴールと、あなたにやってもらう4つのことを伝えます。
理解したら、≪あなたにやってもらう4つのこと≫を実行してください。
≪曖昧なゴール≫
ダイエットに関するブログ記事を2000字程度で書いてください。
≪あなたにやってもらう4つのこと≫
1.曖昧なゴールを達成するために必要なことをStep by Stepで1つづつ実行していけるように手順:[P#]に分解して下さい。
2.分解した手順をもとにゴールを再定義してください。これを確定的なゴールと呼びます。
3.確定的なゴールと手順について変数を用いて一般化した形で再定義してください。
——以下、この作業の実行例(飽くまで例です。変数は2つだけになるとは限りません)——
確定的なゴール:[変数1名称]における[変数2名称]を…
手順:
P1 [変数1名称]における[変数2名称]を…
P2 …
…
——以上、この作業の実行例—————————————————–
4.変数と確定的なゴールと手順を書き出してください。
出力時の体裁は以下のようにしてください。
——以下、この作業の出力例—————————————————–
【変数】
変数1名称
変数2名称
…
変数n名称
【ゴール】確定的なゴールの内容
【手順】
P1の内容
P2の内容
…
Pnの内容
——以上、この作業の出力例—————————————————–
プロンプトの実行例
それでは上のプロンプトを試してみます。
ChatGPTへの挨拶とゴールシークの指示
ChatGPTにゴールシークを指示するプロンプトを送ります。
ChatGPTからの回答
指示に従い、ChatGPTが新しいゴールと手順を作ってくれます。
P4が私が求めていた、新しいゴールと手順になります。
無事意図を組んで生成してくれたようです。
プロンプトの修正指示
新しいゴール・手順・変数を生成してくれましたが、アウトラインや最終的な文章まで変数にするのはだめですね。
これらは変数から外すよう指示して、再度出力を指示します。
こうして “記事の主題、ターゲット層、文字数を決定すればそれに応じたブログ記事を書き上げてくれる指示文” を生成してくれました。
ついでに記事の主題、ターゲット層、文字数の案も適当に考えてもらっています。
変数の使い方について
ゴールシークプロンプトでChatGPTが出力してくれた指示文は「変数」を変えることで様々な課題に応用できます。
上の例では、変数1「記事の主題」、変数2「ターゲット層」をそれぞれ「運動によるダイエット」「中年以上の男性」に変更すれば、中年男性向けのダイエット記事を生成する指示文として使うことが出来ます。
以下で試してみましょう。
生成された指示文を利用
では、新しいチャットを立ち上げて生成してくれた指示文を試してみます。
指示の反芻がありましたが、無事生成してくれました。
成果物への不満を修正
指示した文字数に満たない回答だったので、これを修正するよう依頼しました。
f
こうした修正された文章は約1300字。まずまずの成果物です。
頑張ってくれたパートナーへのお礼は忘れずに。
結びに:どんなことに使える?
これはゴールシークプロンプト全般に言える事ですが、実用上の主なメリットを二つ紹介します。
都度指示文を考える必要が無いため、時間と体力を節約できる
ものぐさなようですが切実です。
論理的に抜け目なく、飛躍のない指示を考えるのはそれなりに思考体力を使います。
そもそも言語化に慣れていない人は指示を厳格にしてAIを制御しようという発想すら生まれないかもしれません。
ゴールシークプロンプトを使えば労せず誰でも60点くらいの指示文を生成できますし、それを見てフィードバックすることで理想に近い状態に修正することが出来ます。
変数を用いたゴールと指示が生成されることで汎用性が高いプロンプトが手に入る
今回の例でAIに生成してもらったプロンプトは、記事の主題、ターゲット層、文字数を変更することで色々なパターンに対応できます。
このように、ゴールシークプロンプトによって生成されたプロンプトは変数の変更によって様々に流用できる汎用性を持ちます。
結局何に使えばいいの?
これは各人が考えるしかありませんが、例えば自身の知見が無い分野で大量の文章を生成するタスクに向いています。
具体的には、企画の案出しなどです。
単なるアイデア出しではせいぜい100字程度の概案しか出せませんが、ゴールシークプロンプトで1000字程度の企画書を生成してもらうプロンプトを生成してもらえば、後は変数をランダム入力させて何度か回すだけで企画書案がいくつも作れてしまいます。
これらの企画書案を見ながらインスピレーションを得ることができます。
いずれにせよ高い汎用性があるので、これから色々な活用アイデアが生まれてくるのではないのかと思います。
皆さんも面白いアイデアが浮かんだらぜひ教えてください。
Twitterやってます。