生成AIでGeminiを選ぶ理由。圧倒的な画像認識・動画認識・文字起こし能力を検証
ここ数年で、言語生成AIサービスは飛躍的に進歩しました。たくさんのサービスがひしめき合う中、仕事の相棒をあえて一つだけ選ばなければならないなら、わたしは画像・動画認識に優れた「Gemini」を選びます。本記事ではChatGPT・Claudeと比較しながらGeminiの画像認識能力を検証し、そのメリットを紹介します。
目次
言語生成AI御三家、それぞれの得意分野
2026年6月現在、言語生成AIの3トップといえば、ChatGPT・Claude・Geminiの3つでしょう。
特に話題をさらっているサービスとして、1つはClaude Codeなどのエージェント機能。もう1つは先月リリースされたGPT-5.5の高い推論能力。これらと比べると、Geminiは一見すると見劣りします。
実際、わたしもツールを使い分けています。コーディングやローカルファイルの処理はClaudeにお任せ。機械学習や込み入った統計解析はChatGPTに投げる。そんな日々です。
それでも、もし1つだけしか課金できないとしたら、迷わずGeminiを選びます。なぜなら、Geminiは圧倒的な画像認識AIの能力、そして唯一無二の動画認識能力を持っているからです。
ビジネスの「こまごました作業」こそ、AIの目に任せたい
ちょっとここで、皆さんの日常業務を思い浮かべてみてください。
社外の方と面談する際、下準備で調べ物をしたり、過去の記録を見返したりしますよね。その情報源は、紙だったりWebだったりするわけです。こうした情報をAIにまとめてもらうには、スマホでパシャリと撮ったり、スクリーンショットを撮ったりしてAIに渡す場面が多いと思います。
経理処理も同じです。例えば、たまった領収書をシステムに入力していくとき、これも写真を撮ってAIに文字起こしさせながら情報を蓄積していき、最後に表形式でまとめてもらう。
このように、仕事には地味で細かい作業がつきものです。そしてこのとき、AIの目=画像認識能力が高いことは大きなアドバンテージになります。
このAIの目=画像・動画認識について、Geminiは群を抜いて優秀なのです。
殴り書きノートで画像認識AIの実力を検証
ここからは、Geminiの画像認識AIとしての実力を検証していきます。
題材は、わたしが昔、統計を勉強していたときに書いたノート。内容はかなりの殴り書きで、写真もやや不鮮明です。要するに「自分しか読めない」レベル。正直公開するのも恥ずかしいこんなノートですが、各AIはちゃんと読み取ってくれるのでしょうか。

ごちゃごちゃしてて見づらいですが、左の段と右の段に分かれており、まずこの構造を理解してもらう必要があります。
全体的に癖のある字で読み取りは困難ですが、特に難しいのが右下の「t分布表(20-2より)も分布上の面積が0.05や~」のくだりでしょう。数字はシンプルゆえに、特徴を読み取りづらく、画像の読み取りにおいて相当難易度が高いです。
この難問に挑戦するのは、Claude・ChatGPT・Geminiの最新モデルです。ただしGeminiは、最上位の推論モデルProのリリースが遅れているため、2段階目の思考モードを使用します。
ChatGPT(GPT-5.5)の結果
まずはChatGPT最新モデル、GPT5.5による結果です。
バルネーブ 2-3
[判読困難]
5%スタートの t検定(スチューデントのt検定)もあるが…
✓ 分散 … 偏差二乗の期待値
✓ 不偏分散 … 偏差二乗和を(n−1)で割ったもの? 自由度?
○ 統計的仮説検定 の手順(大まか)
事象(ex. コイン)
↓
問題:コインは不正はないか
帰無仮説:コインは正しい → これを見る場合
対立仮説:コインは不正
冒頭から「ベルカーブ 23」を盛大に間違えるなど、怪しい雰囲気が漂います。ところどころ読み取れてはいるものの、情報として蓄積するには不足が目立ちます。
念のため補足すると、お題が難しすぎただけです。活字やスクリーンショットの文字起こしをラフにやってもらう分には、ChatGPTでも問題ありません。ただ手書き文字となると、このようにやや難しいところがあるみたいです。
Claude Opus 4.8の結果
次に、Claudeの最新モデル、Opus 4.8の結果です。
べんカーブ 23 Tスタートのt検定(スチューデントのt検定)も好例
○ 統計的仮説検定 の手順(大まか)
事象(ex. コイン)
↓ 問題=コインに不正はないか
帰無仮説:コインは正しい → これと見る場合
対立仮説:コインは不正 (事象が起こる確率
を有意水準と比較)
冒頭の「ベルカーブ23」は間違えましたが、それ以外は、さすがかなりの精度で読み取れています。
右側の欄外メモはどうでしょうか。
✓ 分散…偏差二乗の… 期待値
✓ 不偏分散…偏差…(n-1で割った…) 自由度?
✓ t分布表(20-22…)
表上の面積が0.0…や0.…になるときのt値を表す
↑
水平にt値を見比べて有意…
(母集団 と 様本)
母集団:データ/母分散σ²/nで割る
様本:標本平均/不偏分散/(n-1で割る)
✓ t値は母集団の標準偏差が必要なため あまり実用的でない
かなり健闘していますが、「t分布表(20-2より)も分布上の面積が0.05や~」のくだりは読み取りに失敗しています。小さな文字や数字までは読み取れないようです。
実用にたえる性能と言えますが、契約書のチェックや領収書の処理など、細かい点が重要になる作業は任せづらいですね。
Gemini 3.5思考モードの結果
最後にGeminiです。
ページ最上部(余白のメモ)
左側: ベルカーブ 23
右側: tスタート(またはtスタット)の t検定 (ステューデントのt検定) も好例
右上:
☑ 分散 … 偏差の二乗の期待値
☑ 不偏分散 … 偏差の二乗和を (n-1) で割ったもの。自由度?
冒頭の「ベルカーブ23」を唯一ちゃんと読み取ってくれました。その他の部分も、かなり正確に読み取っています。
Claudeがつまずいた数字のくだりも、以下の通りしっかり正解しています。
【右側・矢印以降のメモ】
☑ t分布表 (20-22p)
グラフ上の面積が0.05や0.01になるときの P値、t値を表す
↓
求めた値を見比べて有意水準と比較できる。 (棄却域か採択域かの判断)
このように、画像認識AIとしての文字認識能力は、Geminiが頭一つ抜けています。
しかも処理速度が速く、長コンテキストでも安定します。
過去モデルの3.1 Flash(Preview)モデルの時点で、24枚ほどのノートメモを渡して破綻せずに読み取りきってくれました。OCR AIとして実務にたえる能力を、持つ唯一無二のAIと言えそうです。
Geminiだけが持つ「動画認識能力」
ここまででGeminiの画像認識精度の高さは理解いただけたと思います。
さらにGeminiは、もう一段階上のことができます。動画をそのまま渡しても、内容を認識してくれるのです。例えば、本の冒頭をパラパラとめくっていく動画。これをAIに渡すだけで、ページの内容を正確に読み取ってくれます。
こんな適当な具合で文字を読み取ってくれるやら。
Geminiに送り込んで「文字に起こしてください」と尋ねた結果を見ますと、
悲しそうな、残念そうな顔をしよう。
(中略)
いつも俺の目の前にあるはずの背番号1の背中が、ここにはないのだということに、俺は気がついた。(3194字)
20秒ほどの動画から、そこで表現されている3000字以上の文字列を、一字一句ほぼ違わず文字に起こしてくれました。
この動画認識機能を使うことで、分厚い文書や領収書、個人飲食店の伝票といった大量の紙情報も、Geminiが一気に文字起こししてくれます。
動画の最長時間までは未検証ですが、過去最長では2分程度の動画を解析・文字起こししてもらうことができました。
日常業務の相棒として、Geminiは欠かせない
正直に言うと、専門的なロングタスクではGeminiは一歩劣る印象です。せっかくGoogleのサービスなのにWeb検索をサボったり、Youtubeの要約を取り損ねたり。少し考えれば気づいてくれそうなところで、推論が甘い印象。
しかし、日常業務を圧縮するうえで、Geminiは欠かせないパートナーです。画像認識AIとしての性能、そして画像認識で文字を読み取る精度、さらに動画認識能力。これらはビジネスシーンで効いてきます。
おまけに、課金プランにはNotebookLMなど各種サービスも付いてくるので、地味にうれしいところです。
Geminiのプランはいくつかありますが、ビジネスユースであれば、2026年6月現在、データが学習に使われないとされているGoogle WorkSpace経由の利用がおすすめです。
月額800円のStarterプランから利用いただけますが、個人的には月額1600円のStandardプランからNotebookLMほかGoogleサービス連携の恩恵を受けられるのでおすすめです。
学習用途などであれば、まずは無料プランで構わないと思います。無料版とはいえ、他社の最新モデルに劣らぬ画像認識能力と速さを体感いただけます。